5つの危険な考え方:The Five Hazardous Attitudes

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、ADM(航空に関する意思決定)に関する問題です。

 

例題

27. PLT103

What antidotal phrase can help reverse the hazardous attitude of impulsivity?

A) Do it quickly to get it over with.
B) It could happen to me.
C) Not so fast, think first.

 

日本語訳

  1. PLT103c PVT

パイロットが‘衝動性’という危険な考え方を抑止するために役立つのは次のどれか

A) 克服するために物事を素早く実行する
B) 自分にも起こりうる事だと考える
C) 急がすに、考えてから行動する

 

解答

C) 急がすに、考えてから行動する

 

解説

5_hazardous_attitude

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The Five Hazardous Attitudes
5つの危険な考え方 (FAA-H-8083-25 Pilot’s Handbook of Aeronautical Knowledge より抜粋)

1.Anti-Authority (Don’t tell me)
This attitude is found in people who do not like anyone telling them what to do. In a sense, they are saying, “No one can tell me what to do.” They may be resentful of having someone tell them what to do, or may regard rules, regulations, and procedures as silly or unnecessary. However, it is always your prerogative to question authority if you feel it is in error.

反権威的 (俺に口出しするな)
この考え方は、他人に自分の行うべきことを指図されたくない人に見られるものです。彼らは、”誰にも自分のすることに口は出させない”といい、他人にあれこれ指図されたり、規則、法律、手順を遵守する事について馬鹿らしいとか不必要だと考えたりして機嫌が悪くなります。ただし、権威的なものを妄信せずに疑問を抱くことも時には必要かもしれません。

 

 

2. Impulsivity (Do it quickly)
This is the attitude of people who frequently feel the need to do something, anything, immediately. They do not stop to think about what they are about to do; they do not select the best alternative, and they do the first thing that comes to mind.

衝動性 (とっととやってしまえ)
この考え方は、何をするにしても、どんなことでもすぐに急いで行わなければならないといつも考えている人に見られます。このような人は、これから行うことについて一旦立ち止まって考えたりはしません。幾通りからの選択肢から最も適切なものを選ぶのではなく、最初に頭に浮かんだことを実行してしまいがちです。

 

3. Invulnerability (It won’t happen to me)
Many people feel that accidents happen to others, but never to them. They know accidents can happen, and they know that anyone can be affected. They never really feel or believe that they will be personally involved. Pilots who think this way are more likely to take chances and increase risk.

不死身 (俺は絶対に事故を起こさない)
多くの人は事故は他人事で自分には起きないと考えます。事故は起こる可能性があるし、被害者になりうることは頭の中では理解しています。ただ、その災難が自分自身に降りかかってくるとは夢にも思っていません。パイロットでこのような考え方をする人は、危険を賭けるような行動をしがちで、事故のリスクを大きくする傾向があります。

 

4. Macho (I can do it)
Pilots who are always trying to prove that they are better than anyone else are thinking, “I can do it–I’ll show them.” Pilots with this type of attitude will try to prove themselves by taking risks in order to impress others. While this pattern is thought to be a male characteristic, women are equally susceptible.

マッチョ (俺には出来る)
パイロットの中にはいつも自分が他人より優れていることを証明したがる人がいて、”オレには出来る。いいとこを見せてやろう”と考えています。このような人は、他人に自分は凄いと思われたくて危険をあえて冒すことがあります。このような考え方は男性的なものだと思われがちですが、女性にも同様に陥る可能性のある考え方なのです。

 

5. Resignation (What’s the use?)
Pilots who think, “What’s the use?” do not see themselves as being able to make a great deal of difference in what happens to them. When things go well, the pilot is apt to think that it is good luck. When things go badly, the pilot may feel that someone is out to get me, or attribute it to bad luck. The pilot will leave the action to others, for better or worse. Sometimes, such pilots will even go along with unreasonable requests just to be a “nice guy.”

諦め (これって何の役に立つ?)
パイロットで、”こんな事しても無駄じゃないか”と考える人は、降りかかった出来事に対して、対処方法によっては大きく異なる結果を生み出すことが自分自身で分かっていません。物事がうまくいっているときは運がいいからだと考えがちで、逆にトラブルになったときは誰かが自分を陥れようとしていると感じたり、不運のせいにしたりします。そのようなパイロットは良い悪いの判断を他人任せにし、無理な要求に対しても、良い人と思われたいためにそれに従ってしまいます。

 

Antidote
対処方法

5つの危険な考え方に対する解毒剤ともいえるフレーズは次の通りです。

antidote

antidote

Hazardous Attitude
危険な考え方

Anti-Authority — Although he knows that flying so low to the ground is prohibited by the regulations, he feels that the regulations are too restrictive in some circumstances.
反権威的:地面近くを超低空飛行することは法規に違反すると知っていたが、彼は状況によっては法律は堅苦しすぎると感じている。

Antidote-Follow the rules. They are usually right.
対処方法:ルールに従う。法律はたいがい正しい。

 

Impulsivity — As he is buzzing the park, the airplane does not climb as well as Steve had anticipated and without thinking, Steve pulls back hard on the yoke. The airspeed drops and the airplane is close to a stalling attitude as the wing brushes a power line.
衝動性:スティーブが(友人を驚かせようと)公園をかすめて低空飛行していた時、彼が期待したよりも飛行機の上昇具合が悪かったので、特に考えずに強く操縦かんを引いた。すると、対気速度が低下し飛行機は失速姿勢に近づき、翼は送電線を擦った。

Antidote-Not so fast. Think first.
対処方法:そんなに急ぐな。最初に考えろ

 

Invulnerability — Steve is not worried about an accident since he has flown this low many times before and he has not had any problems.
不死身:スティーブは事故については心配していなかった。今までに何回も低空飛行をしたし何も問題はなかったから。

Antidote-It could happen to me.
対処方法:事故は自分にも起こり得る。

 

Macho — Steve often brags to his friends about his skills as a pilot and how close to the ground he flies. During a local pleasure flight in his single-engine airplane, he decides to buzz some friends barbecuing at a nearby park.
マッチョ:スティーブは自分の操縦テクニックについて、また、自分はどれだけ地面近くを飛行できるかについて、いつも友達に自慢していた。 彼の単発飛行機で周辺を遊覧飛行しているときに、公園の近くでバーベキューをしている友人たちの上をブーンと飛んで驚かせてやろうと決めた。

Antidote-Taking chances is foolish.
対処方法:わざわざ危険を冒すのは馬鹿らしい。

 

Resignation — Although Steve manages to recover, the wing sustains minor damage. Steve thinks to himself, “It’s dangerous for the power company to put those lines so close to a park. If somebody finds out about this I’m going to be in trouble, but it seems like no matter what I do, somebody’s always going to criticize.”
諦め:スティーブは事故を回避することが出来た。しかし翼は若干の損傷を被った。スティーブが心の中で思ったことは、”電力会社が公園のすぐそばに送電線を設置するから危険なんだ。 だけど、もし誰かがこの件を知ったら自分は面倒なことになる。まあ、自分が何をするにしろ、批判をする奴はいるだろうけど。

Antidote-I’m not helpless. I can make a difference.
対処方法:自分は無力じゃない。変えることが出来る。

 

結論
パイロットは自分が危険な考え方になっていないかを自分で識別し、必要なときに適切な解毒方法を適用しなければならない。

 

 

 

最低安全高度:Minimum Safe Altitude

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、航空法規に関する問題です。

 

例題

155. PLT101 PVT

(Refer to figure 26, area 8.) What minimum altitude is required to fly over the Cedar Hill TV towers in the congested area south of NAS Dallas?

A) 2,555 feet MSL
B) 3,449 feet MSL
C) 3,349 feet MSL

 

日本語訳

155. PLT101b PVT

(図26.エリア8) Dallas海軍航空基地の南側密集区域にある、Cedar Hillテレビ塔上空を飛行する場合の最低高度は

A) 海抜2,555 フィート
B) 海抜3,449 フィート
C) 海抜3,349 フィート

 

解答

B) 海抜3,449 フィート

 

解説

fig.26_area8

fig.26_area8

§119 of Part 91 Over Congested Areas: an altitude of 1,000 feet above the highest obstacle within a horizontal distance of less than 2,000 feet.

連邦航空法パート91セクション119によると、密集地域の上空:水平距離2,000フィート未満にある最も高い障害物の高さから、さらに1,000フィート加えた高度

図26によると、Cedar Hill TV Towerの高さは2,449 ft MSL (1,640 ft AGL)なので、1,000 ft 加えた 3,449ft MSLがこの区域の最低安全高度となります。

 

Minimum Safe Altitude

  1. Anywhere: an altitude allowing a safe emergency landing without undue hazard to person or property on the ground;
  2. Over Congested Areas: an altitude of 1,000 feet above the highest obstacle within a horizontal distance of less than 2,000 feet;
  3. Over Populated Areas: an altitude of 500 feet AGL;
  4. Over Open Water or Sparsely Populated Areas: an altitude allowing for a linear distance greater than 500 feet from any person, vessel, vehicle, or structure;
  5. Helicopters: If without hazard to persons or property on the surface, an altitude lower than in definitions 2, 3, and 4 above, provided in compliance with any routes or altitudes specifically prescribed for helicopters by the FAA.

 

最低安全高度

  1. すべての場所:地上の人または物件に対し、過度の危険性を及ぼすことなく安全な不時着を行うことが可能な高度。
  2. 密集市街区域:水平距離2,000フィート未満にある最も高い障害物の高さから、さらに1,000フィート加えた高度。
  3. 人口密集地:対地500フィートAGL(Above Ground Level)の高度。
  4. 開放水面または過疎地域:地上の人、物件から直線距離で500フィートの高度。
  5. ヘリコプター:地上の人、物件に危害を与えない場合で、FAAによって特別に規定されたヘリコプターのための飛行ルートおよび高度に従うことにより上記2,3,4より低い高度で飛行できる。

 

その他

図26のようなセクショナルチャートでは、密集市街区域を黄色の塗りつぶしで表現しています。
夜間飛行したとき、この黄色のエリアの輪郭と、建物の明かりや街路灯などで明るいエリアの輪郭が一致するので、暗くても自分の位置を確認しやすくなっています。

 

obstacles

obstacles

また、セクショナルチャートでは、障害物(Obstacles)の高さをMSLとAGLの両方で記載している場合があります。
太字の高度がMSL(Mean Sea Level)、かっこ内の高度がAGLです。飛行中、衝突防止や最低安全高度を確認するのに必要なのはMSLですが、塔自体の高さを判断するのにAGLがあると便利なためです。

余談ですが、電波塔の中には本体は細いため直立させるのにガイワイヤー(支線)を周囲から張っているものがあります。本体のみに気を取られてガイワイヤーに衝突しないよう注意してください。

 

 

 

 

ヘリコプターの低周波振動:Low Frequency Vibrations

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、ヘリコプターの振動に関する問題です。

例題

  1. PLT472 PVT

While in level cruising flight in a helicopter, a pilot experiences low-frequency vibrations (100 to 400 cycles per minute). These vibrations are normally associated with the

A) engine.
B) cooling fan.
C) main rotor.

 

日本語訳

251. PLT472c PVT

ヘリコプターで水平巡航中、操縦士が低周波振動(1分当たりの振動が100 から 400回)を感じた。この振動の発生源は、

A) エンジン
B) 冷却ファン
C) メインローター

 

解答

C) メインローター

 

解説

components of a helicopter

components of a helicopter

ヘリコプターは多かれ少なかれ振動がつきものです。エンジン、トランスミッション、ドライブシャフト、メインローター、テイルローターなど回転部のアンバランスやローターのトラッキング不良(各ローターの先端部が異なる位置を通過する)などで振動が発生します。

振動は乗員に不快感をもたらすだけでなく、リベットのゆるみ、金属疲労による亀裂やベアリング部の摩耗、損傷が早期に発生してしまいます。

 

ヘリコプターの回転部分で一番高速回転しているのはエンジンで、レシプロエンジンの場合、毎分2,000回転(2.000rpm)以上です。

エンジンの回転は減速機(トランスミッション)に伝達され、メインローターとテイルローターに減速されて出力されます。

通常、メインローターへの回転は、減速機により(100-500rpm)に減速されます。

テイルローターへの回転は、減速機により(1,000-2,000rpm)に減速されます。

したがって、ヘリコプターの各部回転数は、エンジン→テイルローター→メインローターの順に低くなっています

 

レシプロエンジン(ピストンエンジン)の場合、構造上ある程度の振動が発生するのが普通ですが、スパークプラグの一つが点火不良を起こしたり、点火時期の不良、気化器凍結やミクスチャーのコントロール不良があると、毎分2,000回以上の振動が発生します。これをHigh Frequency Vibrations(高周波振動)と呼んでいます。

 

タービンエンジンの場合、回転数が高いため異常振動があっても体感することが難しいと言われています。

 

トランスミッションのテイルローター側伝達経路からテイルローター上でアンバランスが発生した時、毎分1,000-2,000回の振動が発生します。これをMedium Frequency Vibrations(中間周波振動)と呼んでいます。

この振動の原因は、トランスミッションのテイルローター側伝達経路のアンバランス、冷却ファン(テイルロータードライブシャフトからVベルトを介して回転する)、テイルローター左右の重さの違いによるアンバランス、各テイルローターの重量分布の違いによるアンバランス(ダイナミックアンバランス)そしてテイルローターのトラッキングのずれなどがあります。

パイロットは、アンチトルクペダルから足に振動が伝わることで体感することが出来ます。これは、ほとんどのヘリコプターにおいて、ペダルのコントロールに油圧機構が無いため、振動がダイレクトに伝わるためです。

anti_torque_pedal

anti_torque_pedal

 

トランスミッションのメインローター側への伝達経路からメインローター上でアンバランスが発生した時、毎分100-500回の振動が発生します。これをLow Frequency Vibrations(低周波振動)と呼んでいます。

この振動の原因は、トランスミッションのメインローター側への伝達経路上のアンバランス、メインローターのアンバランスおよびトラッキングの不良などがあります。

パイロットは、サイクリックピッチコントロールや機体が小刻みに揺れたり、体が前後左右に揺すられることで体感することが出来ます。

cyclic_pitch_control

cyclic_pitch_control

 

結論

日ごろから、ヘリコプターの正常な状態の振動を覚えておくことが大切です。異常な振動を感じたときはそのまま放置しないで、出来るだけ速やかに予防着陸を行い、整備士に伝えてください。その時にどのような振動であったかを説明することで、故障の原因探求の助けになります。

 

フラップの役目:One Purpose of Wing Flaps

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、固定翼機の主翼に装備されているフラップに関する問題です。

例題

9.PLT473
What is one purpose of wing flaps?

A) To enable the pilot to make steeper approaches to a landing without increasing the airspeed.
B) To relieve the pilot of maintaining continuous pressure on the controls.
C) To decrease wing area to vary the lift.

 

日本語訳

9. PLT473a PVT
翼のフラップの役割のひとつとして、

A) 対気速度を上昇させることなく急角度の着陸進入を可能にする
B) 操縦装置を保持し続けるための力を軽減する
C) 揚力を変化させるために翼面積を減少させる

 

解答

A) 対気速度を上昇させることなく急角度の着陸進入を可能にする

 

フラップの概要

wing_flaps

フラップは主翼の後縁に装備されていて、翼断面(エアフォイル)のキャンバーを変化させることにより、同一迎え角時の揚力を増加します。同時に誘導抗力も増加します。

着陸進入時にフラップを展開すると、機首を下げて(ピッチ・ダウン)滑走路が良く見える状態でも、対気速度が上昇せず、所定の進入速度を維持することが出来ます。

また、フラップを展開することにより、エアホイルがキャンバーの大きい低速に適した形状となり、失速時の対気速度を低くすることが可能です。

 

フラップの種類

Four Common Types of Wing Flaps

Four Common Types of Wing Flaps

プレーン・フラップは構造が簡単で、後縁部全体を下方向に曲げることにより、キャンバーの湾曲を大きくして揚力を増加させます。同時に誘導抗力(Induced Drag:揚力発生に伴う空気抵抗)が増加するとともに、風圧中心が後方に移動するため、機首下げモーメントが発生します。

スプリット・フラップは、後縁の下面のみを分離(Split)して下方向に動かす構造で、プレーン・フラップに比べて若干揚力を多く発生します。またフラップ展開時に風圧中心の移動が少なく、ピッチの変化が少ない特徴があります。しかし、後縁の直後の空気の流れが乱れるために多くの抵抗が発生します。

スロッテッド・フラップは展開時に主翼とフラップの間に隙間(Slot)が出来る構造で、主翼下面の高圧気流がスロットを通りフラップの上面に沿って流れるため、空気の剥離を遅らせるとともに揚力を増加させる特徴があります。現在の飛行機では最もポピュラーな形式です。

ファウラー・フラップはスロッテッド・フラップの一種で、展開時にフラップが後方にせり出すようになっています。これによりキャンバー形状を変化させるだけでなく、翼弦長(コード)を大きくし主翼の面積を増大させます。展開量が小さいときは抵抗の増加が少ない状態で揚力を増加させ、さらに展開していくに従い、揚力の増加量は減少し、抗力の増加量が増大する特徴があります。ファウラー・フラップは1924年に米国陸軍のHarlan D. Fowlerが発明し、現在は大型の旅客機に採用されています。

 

問題の解説

Aが正解。
Bはトリム・タブの説明。トリム・タブは動翼の後縁部に取り付けられていて、固定式のものと操縦席から操作可能なものがあります。セスナ152にはラダーに固定式のものが、エレベーターに可動式のものが装備されています。エレベーター・トリムは操縦席のホイールを操作することにより、コントロール・プレッシャーを抜いて、操縦を楽にしてくれます。
Cは不正解。フラップは翼断面の形状を変化させて揚力および抗力を増大させます。ファウラー・フラップのように翼面積を大きくするものもあります。

 

まとめ

フラップの種類の項で述べたように、フラップを展開すると風圧中心が後方に移動するため、ピッチダウンのモーメントが発生します。しかし実際にはフラップ展開時のピッチ変化は機体によって異なります。

セスナ152などの高翼機はフラップ展開時に誘導抗力が胴体上部に取り付けられた主翼に作用するために発生する機首上げモーメントや主翼後流の吹きおろし(ダウン・ウォッシュ)が水平尾翼を下に押すため機首上げとなる傾向が顕著です。

またパイパーチェロキーなどの低翼機はフラップ操作時にピッチ変化が少ない、あるいは機首下げ傾向があります。これは前述の風圧中心の後方移動、誘導抗力が胴体下部に取り付けられた主翼に作用することによる機首下げモーメントおよび主翼のダウン・ウォッシュが水平尾翼に作用しないため(特にT尾翼機)です。

 

 

自動方向探知機:Automatic Direction Finder

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、ADFに関する問題です。

例題

68. PLT014

ADF8

ADF8

(Refer to figure 31, illustration 8.) If the magnetic bearing TO the station is 135°, the magnetic heading is

A) 135°.
B) 270°.
C) 360°.

 

日本語訳

68. PLT014cPVT
(図31イラスト8参照)
局への磁方位が135°の場合、磁針路は次のどれか

 

解答

C) 360°.

解説

問題の解き方

MB=RB+MH    という公式を使います。

ADF_compass

ADF_compass

MB=局への磁方位 (Magnetic Bearing to the Station): 無風の時、この磁方位に向かって飛行すれば局に到着できる。
RB=自機を基準とした局への方位 (Relative Bearing to the Station) :ADFの指示を読み取った値
MH=磁針路 (Magnetic Heading) :飛行機の磁石が示す方向

問題の数値を公式に当てはめると、

135=135+MH

MH=135-135

MH=0

解答: 磁針路 000 (360)

 

 

予備知識

ADF (Automatic Direction Finder)について:
ADFは電波を送信している局(NDB局)への方向を指針で指示する計器です。
AMラジオと同じ周波数帯(中波)を使用しています。アンテナの指向性を利用したもので、手動でアンテナの向きを変える方向探知機に対して、電波の強さに応じて自動的にアンテナの向きを変化させるようになっています。

使い方の例として、下記チャートのPETIS(397Khz) という局に周波数を合わせると、モールス信号で局のID(SB)
が聞こえます。

NDB_PETIS

NDB_PETIS

・・・(S)
ー・・・(B)

アメリカでは、モールス符号の後に英語音声で、”PETIS NDB”と送信してくれる場合もあります。

パイロットは正しいNDBを受信したことをこれで確認することが出来ます。

局を受信すると同時に計器盤のADF指示器の針が動き、局の方向を指します。
ADFのダイヤル(アジマス:Azimuth)は、真上が0 (360)、右真横が090、真後ろが180、左真横が270となっています。(ダイヤル固定式の場合)

図31の8では、135を指針が示しています。
これをRB135 (Relative Bearing 135)といい、航空機の機首を基準(ゼロ)とした場合の、局へ向かう方位です。

図31の8の状態で、飛行機が磁針路000 (360)で飛行している場合、機首を135になるように右旋回すれば、
局への磁針路(Magnetic Heading to the Station)となります。

図31の8の状態のとき、もしも飛行機が磁針路090 (東)で飛行している場合、磁針路をいくらにすれば、局へ向かうことが出来るでしょうか?

東の針路090からさらに時計回りで135°方向に局があるので、090+135=225の方向となります。
先ほどの式に当てはめると、

MB225=RB135+MH090

参考

無風の時は、ADFの針を真上に合わせて飛行するとNDB局に向かって飛行することが出来ます。
局を通過するとADFの針は反転し真下を向きます。

左からの横風がある場合

ADF_tracking

ADF_tracking

ADFの針を真上(RB000)に維持して飛行すると、飛行機はコースに対し右に流されながら、磁針路が徐々に左方向に変化します。
このようにして局へ向かうことをホーミングと言います。

横風があるとき、局へ最短距離で飛行するためには、横風の方向に機首を向ける(クラブを取る)必要があります。

例えば、右の図で風が西方向270から吹いているとき、航空機がNDB局へ340のコース上を飛行する場合、左に10°クラブをとりMH330で飛行すると、MB340のコース上を最短距離で局に向かうことが出来ます。
このようにして局へ向かうことをトラッキングと言います。

このとき、ADFの指示は010になっています。

まとめ

ADFの中には、この問題のようにアジマスが固定のもの、パイロットが任意に目盛を回転させることが出来るもの(MBを計算しなくてよい)、さらにはアジマスがコンパスと連動していて目盛を回転する必要すらないものがあります。

前述のように中波帯を使用しているため、ラジオのAM放送を受信して、発信電波塔に向かい飛行することも可能です。

ADFは局への方向を矢印で示してくれるので使い方は一見簡単そうですが、横風があるときにホーミングを行った場合、直線のコースにはならず最短距離で局へ向かうことが出来ません。

最短距離で向かおうとする場合は上記のようにトラッキングで飛行する必要があります。

ATIS:飛行場情報放送業務

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、航空通信に関する問題です。

例題

527. J11PVT
Automatic Terminal Information Service (ATIS) is the continuous broadcast of recorded Information concerning

A) pilots of radar-identified aircraft whose aircraft is in dangerous proximity to terrain or to an
obstruction.
B) nonessential information to reduce frequency congestion.
C) noncontrol information in selected high-activity terminal areas.

 

日本語訳

527   J11cPVT
飛行場情報放送業務(ATIS)は、録音による情報を連続して放送している。その内容は何に関係することか
A)レーダーにより識別されている航空機の操縦士に対しその航空機が、地形や障害物に異常接近して衝突の
危険性があること
B) 無線の混雑を減らすため、重要度の低い情報を連続放送する
C) 特定の混雑の激しい空港における管制以外の情報

 

解答

C) noncontrol information in selected high-activity terminal areas.

 

ATIS 例文

LAGUARDIA AIRPORT INFORMATION QUEBEC

2103Z special
協定世界時21時03分 スペシャルレポート

WIND 360 AT 10
風向360度 風速10kt

VISIBILITY 10
地上視程10SM

4600 SCATTERED,25000 SCATTERED
4600FT 1/10から5/10の雲量、25000FT 1/10から5/10の雲量

TEMPERATURE –6
気温 -6℃

DEW POINT –14
露点温度 -14℃

ALTIMETER 3025
高度計規正値 30.25インチ

EXPRESSWAY VISUAL RUNWAY31 APPROACH IN USE
計器進入はエクスプレスビジュアルランウエイ31を使用中

DEPART RUNWAY 4
出発滑走路 4

BRAVO 4 HOLDLINE IN USE
B4停止線が使用中

LAGUARDIA CLASS BRAVO SERVICES AVAILABLE ON FREQUENCY 126.05
ラガーディア・クラスBレーダーサービスの周波数は126.05MHz

TEMPORARY FLIGHT RESTRICTION OVER MANHATTAN ISLAND
一時的な飛行制限空域がマンハッタン島上空に発令されています

ALL PILOTS READBACK OF HOLD SHORT INSTRUCTIONS AND ASSIGNED ALTITUDE.
全てのパイロットは着陸後一旦停止の指示および指定高度を復唱してください

ADVISE ON INITIAL CONTACT,YOU HAVE INFORMATION QUEBEC
最初にコンタクトを行うとき、インフォメーションQを得ていることを申し出てください

 

ATISとは

航空交通の多い空港で、管制官の仕事量、周波数の混雑を緩和するため、管制以外の航空情報を録音によりエンドレス放送を行っている。

放送の内容は、気象情報、使用滑走路、利用可能な進入経路および重要なNOTAMなど。

録音は一定間隔でアップデートされるほか、気象の急変などに応じて随時更新される。アップデートごとにA-Zの順でICAO Spelling Alphabetによって呼称される。
例:Information “Alpha”, Information “Bravo”など。

パイロットはATCにコンタクトする前にATISを聴取し、最初の交信時に管制官にATISを受信していることを報告する。

交信例:
Oakland ground 1234A Cessna 172/U at east parking, request taxi for runway 27R we have information “Delta”.
オークランド地上管制、こちらはN1234A セスナ172トランスポンダーはモードC、東側の駐機場にいます。滑走路27Rへのタキシング許可願います。インフォメーションDを聴取しています。

 

icao_phonetic Alphabet

icao_phonetic Alphabet

 

日中の衝突防止テクニック:Eye movements during daytime collision avoidance

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、エアロ・メディカル・ファクターに関する問題です。

例題

29.PLT099
Eye movements during daytime collision avoidance scanning should

A) not exceed 10 degrees and view each sector at least 1 second.
B) be 30 degrees and view each sector at least 3 seconds.
C) use peripheral vision by scanning small sectors and utilizing off-center viewing.

日本語訳

29. PLT099aPVT
昼間、衝突防止のための見張りを行うための適切な目の動かし方は次のどれか
A) 10°を超えない範囲の空間をそれぞれ最低1秒間探す
B) 30°の範囲の空間をそれぞれ最低3秒間探す
C) 空間を小さな範囲に分け、中心を避けて見ることにより周辺視野を活用する

解答
A) not exceed 10 degrees and view each sector at least 1 second.

 

解説

日中の見張り方法:

空間を10°を越えない範囲で細かく区切り、それぞれのセクターを1秒間以上焦点を当てて他機を探す。

 

夜間の見張り方法:

空間を細かく区切り、目標物の中心を避けて見ることにより周辺視野を活用する。

 

目の仕組み

目の構造はカメラと一緒で、景色はレンズを通して網膜上で焦点を結び、視細胞がセンサーとなって視神経経由で脳に情報が伝わる。

eye

eye

 

 

網膜の構造

黄斑:水晶体(レンズ)に正対する位置の網膜には黄斑があり、その中心には1mm程度の大きさの中心窩(Fovea) がある。文字を読んだり、物体に焦点を当てて見るときはこの部分を使用する。

錐状体(CONE):視細胞の一種で表面が円錐状をしている。中心窩部分に集中していて物の色や形状をはっきりととらえることが出来る。明るい場所から暗い場所へ移動した場合、適応は速い。

杆状体(ROD):視細胞の一種で表面が棒状をしている。網膜の周辺部にあり明暗を敏感にとらえることが出来る。明るい場所から暗い場所へ移動した場合、適応は遅く約30分必要だが、一旦適応するとその感度はCONEの10,000倍といわれている。

 

視野の種類

night_blind_spot

night_blind_spot

中心視野:物の色や形がはっきりと認識できる。範囲は狭い。(昼間の見張りに有効)

周辺視野:明暗や動きを敏感に感じることが出来る。範囲は広い。(夜間の見張りに有効)

 

夜間の盲点

夜間、RODに比較して感度の低いCONEで物体を直視しようとすると、視界から物体が消失してしまうことがある。

 

 

結論

昼間、見張りを行う時はCONEを活用する。CONEを活用するためには空間を10°以内の狭い範囲に区切り、それぞれに短時間焦点を当てる。
夜間、見張りを行う時はRODを活用する。RODを活用するためには目標を直視するのではなく、5-10°程度ずらした位置で見るようにする。

また、夜間飛行を行う時は事前に目を慣らす必要がある。30分程度はヘッドライトなどの明るいものを直視しないこと。
コクピットの照明には赤色灯を使用することで眩惑を防止することが出来る。

 

 

飛行場の標識:Mandatory Instruction Signs

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、飛行場標識に関する問題です。

例題

19 . PLT141
A left turn at this intersection would place the aircraft

26-8

26-8

A) ready for a runway 26 intersection takeoff.
B) on the taxiway leading to runway 26.
C) ready for a runway 8 intersection takeoff.

 

この標識のある交差点で左折した場合、航空機が位置するのはどこですかという問題です。

解答は(C)の滑走路8途中からの離陸待機状態

 

解説

airport_signs

airport_signs

上の図は、飛行場の標識の抜粋です。赤地に白文字の標識は、その先に行くためにはATCの許可が必要です。
サンプル標識 ”26-8” は、前方に滑走路26(8)があることを示していて、現在航空機は誘導路上または交差する滑走路上にいます。

下の図は、設問における航空機の現在位置を表しています。(説明のため地図を逆向きにしています)

rw26-8

rw26-8

航空機は今、誘導路G上にいて、前方には滑走路があります。滑走路入り口付近には赤の標識(26-8)が設置されています。
航空機は誘導路Gから滑走路に許可なしに進入してはいけません。

rw_boundary

rw_boundary

左図は誘導路と滑走路の境界の路面上に設けられたマーキングです。誘導路側は実線、滑走路側は点線で表されていて、誘導路側から許可なしに進入不可、滑走路側からは許可を受けずに退出可能です。

 

ATCから許可をもらい、誘導路から滑走路に左折して進入すると、航空機は滑走路8の途中に位置することになります。
ちなみにATCは「Cessna 1234A Runway 8 Line Up and Wait」と言ってきます。

パイロットは左折して滑走路に進入して滑走路にアラインし停止します。

 

結論

飛行場標識で赤地に白文字のものは、(Mandatory Instruction Signs)といって、ATCからの許可を受けなければこの位置から先へ行ってはいけないことを表しています。

飛行場標識で黒地に黄文字のものは、(Information Sign)といって、現在地(滑走路・誘導路)、滑走路の残距離、滑走路・誘導路への方向(矢印があるもの)を表しています。

 

26-8

26-8

今回の問題で使用された標識は、ミニチュアの滑走路だと考えればわかりやすいと思います。滑走路を左から右に使用する場合は(26)、右から左に使用する場合は(8)となり、問題では航空機は滑走路を右から左に使用するので、誘導路から左折した時は、滑走路8に進入となります。

離陸滑走距離:Ground Roll, Total take off distance over a 50 foot obstacle

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、航空機性能の知識と絡めた、パイロットの判断に関する問題です。

例題

28. PLT271
A pilot and two passengers landed on a 2,100 foot east-west gravel strip with an elevation of 1,800 feet. The temperature is warmer than expected and after computing the density altitude it is determined the takeoff distance over a 50 foot obstacle is 1,980 feet. The airplane is 75 pounds under gross weight. What would be the best choice?

A) Taking off into the headwind will give the extra climb-out time needed.
B) Try a takeoff without the passengers to make sure the climb is adequate.
C) Wait until the temperature decreases, and recalculate the takeoff performance.

 

take_off_distance

take_off_distance

日本語訳

28 . PLT271cPVT

パイロットと2名の乗客が標高1,800ftに位置する東西2,100ftの砂利敷き滑走路に着陸した。気温は予測よりも高く、密度高度を計算したところ離陸後50ftの障害物を越えるまでの離陸距離は1,980ftであった。飛行機は許容最大重量に対して75ポンド軽い。もっともよい判断は次のどれか。

A)向い風方向に離陸することにより必要な上昇時間を延ばしてくれる
B)適切な上昇が行えるかどうか乗客を乗せずに離陸して確認を取る
C)気温が低下するのを待つ。そして再度離陸性能を計算する

 

解答

(C)Wait until the temperature decreases, and recalculate the takeoff performance.

 

 

解説

離陸距離に影響するもの

機体重量
重量が大きいほど離陸に必要な滑走距離は長くなります。上のグラフの航空機だと機体重量2,200ポンドの場合は58ノットで離陸できるのに対して、機体重量2,950ポンドの場合は66ノットまで加速しなくてはなりません。また、重量が大きいほど加速に必要な時間もより長くなり滑走距離が延びます。

 

風向・風速
向い風で風速が大きいほど離陸時の滑走路と飛行機の相対速度は小さいので、滑走距離は短くて済みます。

 

密度高度
標高の高い飛行場は気圧が低く空気が薄い状態となるため、主翼が発生する揚力、エンジンの出力が低下し、より長い滑走路を必要とします。
たとえ標高が低い飛行場でも、気温や湿度が高い場合は、空気の密度が小さくなり、(密度高度が上昇する)標高の高い飛行場と同じように離陸に必要な距離は長くなってしまいます。

 

滑走路の状態
芝の滑走路の場合、ランディングギヤに掛かる抵抗が増加し離陸滑走距離が長くなります。砂利(グラベル)や濡れた滑走路の場合、ホイールブレーキの効きが悪く着陸滑走距離は伸びますが、離陸滑走距離はそれほど影響は受けません。また、滑走路の長手方向に傾斜がある場合、上り坂になっていると滑走距離は伸びます。

 

操縦の方法
離陸時のミクスチャー調整や、ローテーション時の速度、フラップの開度設定、ランディングギヤ引き込み時期などを正しく行わない場合は障害物を越えるまでの離陸距離が長くなります。上記のグラフ(POH抜粋)のデータは、社運を賭けた優秀なテストパイロットが完全に整備された機材を使用し全力で出した結果です。

 

問題から読み取れること

・標高1,800フィートなので平地に比べれば離陸距離は長くなる。

・滑走路面は砂利敷きなので、滑走距離が長くなることはあっても、縮まることはない。

・滑走路全長2,100フィートに対して50フィートの高さの障害物を越えたときの離陸総距離が1,980フィート。これは、滑走路終端から約40m手前のところで対地高度が15mしかないということ。

・問題では具体的な風向風速が提示されていないので、どれくらい滑走距離が短くなるか判断できない。

 

選択肢

(A)の説明は不適切。向い風の大小が、飛行機の上昇率(1分当たりの獲得高度)に影響することはありません。ただし、向い風が大きい方が滑走距離は短く上昇角度も大きくなり、設問の状況に有利に働きますが問題には具体的な向い風の数値がないので、安全な離陸が出来るかどうかはわかりません。

(B)は、わざわざ乗客を降ろして実験しなくても、グラフから離陸距離を求めることが出来ます。しかし、それで安全を確認しても乗客を乗せた場合、条件が変わるので安全に離陸できるかはわかりません。

(C)が与えられた選択肢の中ではベストです。例えば14時の気温が35度でも、夕方、あるいは次の日の早朝まで待てば気温は低下するはずです。また、風の条件も良くなっているかもしれません。
問題では一応滑走路全長より短い距離で離陸可能ですが、上記で説明したように少しでも条件が変われば、40mの余裕はすぐに無くなってしまいます。

 

結論

離陸滑走距離の計算だけではなく、気象の変化、到着予定時刻など、余裕をもって計画することが安全に直結します。しかし、今回の問題のような状況になった後では、飛行を延期することは簡単なことではありません。乗客も怒るでしょうし、飛行機のレンタル代、駐機料やホテル代など経済的にも負担が掛かります。それなら無理をしてでも行ってしまおうと考えるのが人情です。一番最初の計画段階で飛行場の気温予測を厳しくしていれば、目的地や時間帯を変更するなど対処できたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

S字旋回:While practicing S-turns

 

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、エアーワーク(空中操作)の問題です。

例題

222. PLT219 PVT
(Refer to figure provided.) While practicing S-turns, a consistently smaller half-circle is made on one side of the road than on the other, and this turn is not completed before crossing the road or reference line. This would most likely occur in turn
A) 1-2-3 because the bank is decreased too rapidly during the latter part of the turn.
B) 4-5-6 because the bank is increased too rapidly during the early part of the turn.
C) 4-5-6 because the bank is increased too slowly during the latter part of the turn.

 

 

222. PLT219b PVT
(図 67.)S字旋回の練習を行うとき、片側の半円が他方より小さくなり、道または基準線を過ぎても旋回が完了しない状態になりやすいのは次のどの場合か
A) 1-2-3 の旋回。旋回後半のバンク角減少が早すぎた場合
B) 4-5-6 の旋回。旋回前半のバンク角増加が早すぎた場合
C) 4-5-6 の旋回。旋回後半のバンク角増加が遅すぎた場合

 

考え方

S字旋回の練習は、道路などの地上目標を中心線にして実施します。問題のように風が中心線に対して直角に吹いている場合、無風時と同じように操縦を行うと、風上側の半円が小さく、風下側の半円が大きくなってしまいます。

これは、機体が風によって風下側に流されてしまうためで、地上軌跡がきれいなS字になるようにするには、位置によってバンク角を増減したり、バンクを取るタイミングを変える必要があります。

s_turns

s_turns

そこで、上図のように機体が追い風になっているときのバンク角を大きく(バンクを取るタイミングを早く)、機体が向い風になっているときのバンク角を小さく(バンクを取るタイミングを遅く)します。

上図の3-4-5の旋回は、センターラインよりも風上側の半円なので、無風時よりも半円が小さくなりがちです。そこで、機体が向い風になっている図の3の位置でバンク角を小さく(バンクを始めるタイミングを遅く)しなければなりません。

 

解答

正解は、B) 4-5-6 の旋回。旋回前半のバンク角増加が早すぎた場合。

 

上図において、
バンク角を大きくする(タイミングを早くする)・・・1と6
バンク角を小さくする(タイミングを遅くする)・・・3と4
中間のバンク角にする・・・2と5

 

 

まとめ

このような問題は、英文の意味が分かれば比較的容易に理解できるのではないでしょうか。
当サイトでは、FAA自家用操縦士筆記試験問題集の日本語訳を販売しています。ご利用いただければ幸いです。