ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。
今回は、前回に引き続き、気象の知識と絡めた、パイロットの判断に関する問題です。一見、前回と同じ問題のようですが、実は違います。
例題
28. PLT271
The destination airport has one runway, 08-26, and the wind is calm. The normal approach in calm wind is a left hand pattern to runway 08. There is no other traffic at the airport. A thunderstorm about 6 miles west is beginning its mature stage, and rain is starting to reach the ground. The pilot decides to
A) depart expecting the thunderstorm to dissipate prior to arrival then land on runway 8.
B) fly an approach to runway 26 since any unexpected winds from the storm will be westerly.
C) delay departure until the thunderstorm has dissipated.
目的地の飛行場は08-26の滑走路があり、当日は無風。この飛行場では、風のないときは通常、左回りのトラフィックパターンで滑走路08に着陸することになっている。 飛行場周辺には、他の航空機はいない。
現在、6マイル西に雷雲があり、成熟期の始めを迎えていて、雨が地上に到達し始めた。
このような状況で、パイロットはどのような決断を下すべきか?
パイロットの判断
質問は、前回の問題とまったく一緒です。違うのは選択肢で、前回は飛行機は既に目的飛行場の付近にいる設定でしたが、今回は出発前の選択肢が2つ(AとC)あります。
選択肢A:目的飛行場に到達する前に、雷雲が消滅していると期待して出発し、滑走路08に着陸する。
選択肢C:雷雲が消滅するまで出発を遅らせる。
選択肢Bは、前回と同じで、当該雷雲由来の突風は西から吹くので滑走路26に進入する。
選択肢Aが問題なのは、いつ、雷雲が消滅するのか確信がないのに出発してしまうところと、滑走路08を選んでしまったところです。もしも、目的飛行場の上空についたとき、雷雲が消滅していなかったとしたら・・・。もしかすると、雷雲が流されて飛行場上空に来ているかもしれません。
前回正解だった選択肢B(西風を予測して26に着陸する)ですが、飛行機が着陸する寸前で、雷雲の状況が設問の状態であれば、問題ないかもしれません。しかし、時間が経てば、雷雲の危険性が増す可能性があります。
選択肢C(雷雲が消滅するまで出発を遅らせる)が最良の判断です。多くの飛行学校が、規則として採用しているのは正にこれで、飛行場20マイル圏内に雷雲があるときは、飛行中であれば代替飛行場に進路変更する、出発時であれば、雷雲が消滅するまで待機することになっています。
まとめ
FAA自家用操縦士学科試験問題では、時々問題の変更が行われています。よく読んで回答するようにしてください。