ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。
今回は、固定翼機のスピンに関する問題です。
例題
6.PLT245 PVT
In what flight condition must an aircraft be placed in order to spin?
A) Partially stalled with one wing low.
B) In a steep diving spiral.
C) Stalled.
日本語訳
6. PLT245c PVT
飛行機がスピンを起こすためにはどのような条件が必要か
A) 片方の主翼が下がっている状態で部分的に失速していること
B) 急角度の螺旋降下を行っていること
C) 失速していること
解答
C) 失速していること
解説
スピンとスパイラル・ダイブの違い
スピンは主翼の片方が、反対側の主翼よりも大きく失速している場合、左右の主翼の間に揚力と抗力の差が生じることにより、失速の度合いが大きい側(揚力小・抗力大)の主翼を旋転の中心側として低速で旋転を繰り返し、高度を失っていく現象。
スパイラル・ダイブは、高度を処理するときなど故意に行う場合と、夜間や雲中など水平の目印となるものがないときに予期せずに陥る場合があるが、後者は、何らかの外力により機体が傾いたときに、パイロットが傾きに気付かず、その結果、高度が下がるのをエレベーターを引くことで修正しようとした場合、さらにバンク角が増加し高度を失うため、さらにエレベーターを引く悪循環に陥り、急激に高度を失っていく。
スピンとスパイラル・ダイブは旋転(旋回)しながら高度を失っていくので、一見同じ現象のようですが大きな違いがあり、それは速度です。
スピンは低速度で発生し、スピン中もほぼ一定の速度を維持します。それに対してスパイラル・ダイブは、速度がどんどん大きくなっていく特徴があります。
リカバリー方法
スパイラル・ダイブは、主翼の傾きが原因なので、まずエルロンで水平に修正するとともに、速度増加を抑えるためにパワーをアイドルにします。その後、エレベーターを引いて水平飛行に戻ります。
スピンは、主翼が失速しているためエルロンで傾きを直すことが出来ません。パワーをアイドル、エルロンを中立、ラダーを旋転の反対方向にフルに踏み旋転を止め、旋転が止まったらエレベータを押すことで、主翼の迎え角を減らし、主翼の失速を回復させます。その後、エレベーターを引き水平飛行に戻します。
結論
スピンは必ず主翼の失速を伴います。また、失速は主翼全体がいっぺんに失速するのではなく、主翼の後縁から前縁へと徐々に失速が波及するため左右の主翼で失速の度合いが違うことが起こりえます。このことで左右の主翼の揚力と抗力の差が発生しスピンの原因となります。