重量・重心の計算(Weight and Balance calculations)その1


ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は重量・重心(Weight and Balance)の問題を一緒に解いていきましょう。

 

例題

149. PLT092 PVT
(Refer to figure 34.) Calculate the moment of the airplane and determine which category is applicable.
Empty weight:1,350 lb, 51.5 (MOM/1000)
Pilot and front passenger: 310 lb, — (MOM/1000)
Rear passengers: 96 lb, — (MOM/1000)
Fuel, 38 gal: —lb, — (MOM/1000)
Oil, 8 qt: —lb, -0.2(MOM/1000)

 

 

A) 79.2, utility category.
B) 80.8, utility category.
C) 81.2, normal category.

figure34

figure34

図34を参照し、飛行機のトータルモーメントを求め、この条件で積載が行われた場合、飛行機がどのカテゴリーに該当するかを計算しなさいという問題です。

予備知識

重心位置(Center of Gravity):モーメントの合計(Total Moment)/ 全備重量(Total Weight)

モーメント(Moment):重量(weight)  ×  アーム(Arm)。モーメントは桁数が多くなるので、100分の1(/100)や1,000分の1(/1000)で表すことが多い。

アーム(Arm):基準線(Datum Line)から重心位置(CG)までの水平距離

基準線(Datum Line):重心位置を求めるために設けられた基準となる線。機体によって設置個所が異なる。この問題の機体は防火壁(Bulkhead)に基準線を設けてある。基準線をゼロとして、それより前側をマイナス、後ろ側をプラスとしている。

カテゴリー(Category):普通(Normal)、実用(Utility)、曲技(Acrobatic)などがあり、積載状況によりカテゴリーが変わる航空機がある。

空虚重量(Basic Empty Weight):航空機が最低限、飛行するために必要な装備を積載した状態の重量。作動油や使用不可燃料(ポンプで吸い上げることのできないタンクに残る燃料)が含まれる。エンジンオイルが空虚重量に含まれる機体と含まれない機体がある。

燃料・オイル量の単位:ガロン(US Gallon)約3.8リットル。クオート(qt)1/4 gallon 約0.95リットル。1ガロン当たり航空ガソリンは6ポンド、エンジンオイルは7.5ポンドの重量があります。

 

問題の解き方

1.図34の上側のグラフ(ローディンググラフ)を使用して、トータルウエイトとトータルモーメントを求めます。

2.上記で求めたトータルモーメントをトータルウエイトで割り、重心位置を求めます。

3.図34の下側のグラフ(重心・モーメント範囲グラフ)を使用して、航空機がどのカテゴリーに入っているかを求めます。

 

注意

グラフの欄外に書かれている注意事項(下記)をよく読んでください。

・この飛行機の空虚重量にエンジンオイルは含まれていません。

・燃料の重量は1ガロン当たり6ポンド(LB)

・オイル8qtの重量は15LBで-0.2(データムより前側)

・グラフのモーメントは、1,000分の1 (mom/1000)

・*印は標準タンク

・**印は長距離用タンク

・パイロット及び乗客の重心位置は、シートのスライドを標準体型の人に合わせた状態でグラフ化しています。

 

 

次回に続く