ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。
今回は、航法の問題です。
例題
- H987 PVT
(Refer to figure 22.) Determine the magnetic heading for a flight from Mercer County Regional Airport (area 3) to Minot International (area 1). The wind is from 330° at 25 knots, the true Airspeed is 100 knots, and the magnetic variation is 10° east.
A) 002°
B) 012°
C) 352°
Mercer County Regional AirportからMinot Internationalへの磁針路を求めなさい。風は330° から 25 knots、真対気速度は100ノット、偏差は10°Eとする。
手順1
図22で出発地と目的地を見つけて、直線を引きます。(下図)
手順2
プロッターを使用してTC(真航路)を求めます。(下図)
プロッターを使用して、図のように緯度の線とプロッターの目盛りの合致点を測定しますが、あらかじめおおよその方位を考慮して、メモリを選びます。
この問題の場合、TCはおおよそ北(000)なので、プロッターの目盛り(100,280,010,190)のうち一番近い010(10)を使用します。
TC=012
この地図上のコースを飛行すれば目的地に到着できます。
手順3
手順2で求めたTCにWCA(偏流修正角:Wind Correction Angle)を加減してTH(真針路:True Heading)を求めます。
フライトコンピューターを使用して、WCAを求めます。(下図)
その1.風向風速をインプットする
フライトコンピューターのTrue Index (▼)に風向330になるようにダイヤルを合わせる。
グロメット(ハトメ)から上方向に風速25ノットの場所(図では125ノット)に鉛筆で点を付ける(ウインド・ドット)
このとき、スライダーを調節して読みやすい位置(図では100ノットのライン)にしておくとマークしやすい。
その2.TC・TASをインプットする
フライトコンピューターのTrue Index (▼)にTC(012)をダイヤルを調節して合わせる。
ウインド・ドットにTAS(100)の弧線をスライダーを調節して合わせる。
その3.WCAを求める。
ウインド・ドットが中心線から10°左にずれているのを確認する。
WCA=10L(-10°)
TC±WCA=TH
012-10=002(TH)
手順4
THをMH(Magnetic Heading)に修正する。
磁石の北(磁北)と地図の北(真北)はずれているので、これを修正します。
問題では偏差(Magnetic Variation)は10°E(磁北は真北の10°東側)なので、地図上の真北(000)を飛行するためには、磁石を(350°)に保持する必要があります(‐10°)
TH±VAR=MH
002-10=352(MH)
答えはCの352°となります。
まとめ
TC±WCA=TH
TH±VAR=MH
これにコンパスの自差(Deviation)を修正してCH(Compass Heading)を求め、飛行します。
MH±DEV=CH
WCAを求めるにはフライトコンピューターが便利ですが、風力3角形を作図して求めることもできます(下図)
今回の問題では使用しませんでしたが、WCAを求めるときにGS(対地速度:Ground Speed)も一緒に求めることが出来ます。
グロメットに対応するスライダーの目盛りを読むと、80ノットであることが分かります。
目的地までの距離とGSが分かれば所要時間(ETE)が計算でき、出発時間から、到着予定時間(ETA)を求めることもできます。
このようにして飛行することを推測航法(Dead Reckoning)といいます。
最後に、このような問題を解く場合は前もって飛行をイメージをすることが大切です。
例えば、
北のコースで、風が北西から吹く場合、流されないようにTCより左向きにクラブを取る。
偏差が東寄りなので、磁針路はマイナス(左向き)にする。
向い風なので、GSはTASよりも小さくなる。
など。
地図上で、VORのコンパスローズを見れば、偏差をイメージすることが出来ます(コンパスローズは磁方位で書かれているため)
おわり