ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。
今回は、航法計器の問題です。
例題
72. PLT101 PVT
(Refer to figure 26, area 5.) The VOR is tuned to the Dallas/Fort Worth VORDME. The omnibearing selector (OBS) is set on 253°, with a TO indication, and a right course deviation indicator (CDI) deflection. What is the aircraft’s position from the VORDME?
A) East-northeast.
B) North-northeast.
C) West-southwest.
OBSノブを 253°の「TO」にセットした状態で、CDIの針が右に振れているときに航空機の位置を答えなさいという問題です。
左図は、この問題のVOR指示を再現したものです。OBSノブを指で回すと外周の方位ダイヤルが回転します。△印にダイアルが25.3になるように合わせたとき、TO/FROMインジケーター▲がTOになりました。
このとき、CDIの針は右に振れています。
これは、VOR局へ向かう253度のコースが、航空機の位置に対して右側にあることを意味しています。CDIの振れが大きいほど、コースから逸脱していることを表しています。
右図の赤い線は局に対して253°TOのコースです。緑の線は253°FROMのコースとなります。
VORの指示は253°TOのコースに対してCDIが右に振れているので、図の☆印に航空機が位置することを表します。
従って、航空機は局に対してほぼ東(若干北寄りの)に位置していることが分かります。
従って正解は(A)の東北東となります。
このように、VORは自分が設定したコースに対して自機の位置を知ることが出来ます。CDIが真っ直ぐになるようにOBSを調整して、TO/FROMインジケーターがFROMになるようにすると、局からのコース(ラジアル)を求めることが出来ます。
2つ以上のVOR局からそれぞれラジアルを求めると、その交差する点が現在地点になります。
反対に、CDIが真っ直ぐになるようにOBSを調整して、TO/FROMインジケーターがTOになるようにすると、自機は局へのコース上にいることになり、CDIが振れないようにそのコース針路を飛行すれば、局へと飛行することが出来ます。
この場合、局を通過するとTO/FROMインジケーターはFROMに変わります。
いずれの場合でも、VORが指示するのは自分が設定したコースに対する自機の位置です。
サークリングを続けるなど、その地点にいる限り飛行機のヘディングを変えてもVORの指示は変わりません。